天才醤油少女カオリ
■ストーリー

第3部 聖地探索編
  一の鍵〜新宿駅大決戦

カオリとポポフとデヴィッドが新宿駅を舞台に大暴れ。
いぶき、藤沢駅長、ガロアと名キャラクターがバンバン登場!そして最後を飾るのは…!


「激闘!新宿駅の一番長い日…その1」

残暑残る新宿新都庁庁舎。その知事室に東からきた飛来物が激突した。あわてて大理石のバスルームに駆け込む鈴木都知事。破壊の残骸の中から黒い長身の男が現れた。亜音速の醤油士「サブソニック・ポポフ」!ポポフはぐるりと首を回して鈴木都知事をにらみつける。

 「さぁ!鍵を出せ!醤油の鍵をな!」
 「な…なんだと?し、しらんぞそんなものは!」
 「黙れ、JRシンジュクステーションにあると情報はつかんでいる。鍵を出せば命だけは助けてやる!さぁ出せ!」
 「ここは都庁だ!駅ではない!」
 「なんだと!?」

 騒ぎに警備員が駆けつける。

 「鈴木都知事!大丈夫ですか!?うわぁぁぁーーっ!」

警備員達が見たものは大理石の風呂いっぱいの醤油に浮かぶ昏倒した鈴木都知事の姿だった。鈴木都知事は駅と都庁を間違えたポポフの犠牲になってしまったのだった。おそるべしサブソニック・ポポフの狂気。かくして新宿駅の一番長い日が幕を開ける…。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その2」

12時ちょうど。新宿駅南口。突如として駅ビルの窓ガラスが次々と割れ、あたりに醤油の臭いが立ちこめる。ポポフがいきなり駅周辺施設に向けて亜音速醤油を放ったのだ。サブソニック・ポポフは容赦をしない男だった。

「さぁ鍵を出せ!ここが駅だということはわかっている!電車が走っているからな!」

突如の暴力行為と意味不明な言動に戸惑う乗客。駅員がポポフを取り押さえようとするが亜音速醤油に吹き飛ばされてしまう。

「弱い弱い!それでも鍵を守護する者か!」

ただのJR職員達に対して勘違いも甚だしいポポフはなおも迫る。

「鍵を出せ!醤油の鍵を出さなければ貴様等全員醤油漬けだ!」

JR新宿駅駅長室にも報告が行く。

「藤沢駅長!南口構内で外国人が暴れています。なんでも鍵を出せと…」
「ふん、この駅じゃあ、そんな危ない奴はいくらでもいるだろう。取り押さえて警察に身柄を渡しなさい。」
「しかし、拳銃のようなものを持っており…駅員は醤油まみれに…」
「何?」
「いや、ですから辺り一面醤油だらけで…『醤油の鍵を出せ』と要求しています」
「何を言っているんだ君は?」
「ですから醤油が…」

バキッ!亜音速醤油が乾いた音を立てて駅長室の扉を破る。崩れ落ちた扉を抜けポポフが現れる。

「さあ!醤油の鍵を出せ!」
「な…なんのことだ!」
「しらばっくれるな!貴様が新宿ステーションの長であるのなら知っているはずだ!」

藤沢駅長の左耳を亜音速醤油がかすめる

「や…やめてくれしらんもんはしらん!」
「く…そこまでして隠すとはな。よかろうこちらにも考えがある」

ポポフは駅長室から飛び出し、中央線下り列車のレールの上におり立った。そこに中央線がすべりこむ。ポポフと中央線が激突する瞬間。ポポフが車輪めがけて亜音速醤油を打ち込む!

轟音と共に横転する中央線
新宿駅中央線ホームは阿鼻叫喚の地獄と化した!

12時間以内に醤油の鍵を出さなければ、新宿ステーションの全てを破壊する!繰り返す!醤油の鍵を用意せよ!」

爆音を背にポポフの怒号がこだまする。誰がポポフの暴走を止めるのか!?



「激闘!新宿駅の一番長い日…その3」

同日16時、新宿駅の破壊活動を重大なテロと判断した日本政府は自衛隊を中心としたテロ対策委員会を組織、ポポフの対応にあたった。

新宿駅を機動隊が取り囲み、一般人を避難させ、駅全体を立入禁止にした。対策委員会はポポフと接触を試みるが、しかし、ポポフは「醤油の鍵を出せ」の一点張りで辣腕の交渉人(ネゴシエーター)も醤油漬けにされて送り返される始末。

自衛隊対策本部で協議が重ねられている。

「要求はダミーだな。犯人は実現不可能な要求を盾に時間稼ぎするつもりだ。名前からするとロシア系。対応を誤ればやっかいなことになる。」と五十嵐幕僚長

「しかし、テロ開始から要求は変化していません。要求が本物。もしくは奴が精神に異常をきたしている可能性も…」とテロ対策スペシャリスト・宇田川法正。

「異常でなければこんなことはせんよ。だが要求の真偽を確かめる必要はある。どうなんだ藤沢駅長。醤油の鍵とはなんだね。」と別の自衛隊幹部が藤沢駅長に迫る。

「いや、まったく心当たりのないことで…」お偉方に囲まれへどもどする藤沢駅長

「どうも怪しい。テロ開始から奴は新宿駅のみを狙っている。これはおかしい。君は何か隠しているんじゃあないかね?もう一度聞こう醤油の鍵とはなんなんだね?」

「いや、そんな全くしらないことで…」

ダンッ!テロ対策スペシャリスト・宇田川が机を叩く
「いいですか!藤沢駅長、テロ対策は正確な情報こそが命なのです!あなたのそうやって隠すことで今この瞬間にも民間人の命が危険にさらされていることを認識していただきたい!」

「いや…ですから…その…」

「しかたあるまい。現時点で犯人の目的が不明である以上、交渉は不可能だ。まずは、犯人の要求と装備を確認した後、人命最優先で対応に当たる。なお、藤沢駅長への尋問は限界まで継続すること。これで協議を解散する。以上!」

藤沢駅長はいまにも泣きそうな表情で顔を真っ赤にしていた。

協議が解散を告げるころ、無人の新宿駅地下街サブナードに一人の少女が立っていた。片手にには一升の醤油ビン。そう彼女の名は溜カオリ。

「まーったく、こーいうバカのせいで醤油が作りにくくなっちゃうじゃない。」

果たしてカオリはポポフにどう立ち向かうのか!?



「激闘!新宿駅の一番長い日…その4」

ポポフは駅長室で懸命に鍵を探していた。駅を取り囲む機動隊など眼中にないように…だが、ポポフは何かを感じ取り周囲を見回した。

「来る!醤油が…来る!」

ポポフの体内に埋め込まれている醤油レーダーが反応したのだ。ポポフは駅長室を飛び出すと醤油反応の強い方向に向かっていった。

カオリは地下街サブナードを小走りに駅に向かっていた。警備にあたる機動隊がカオリを止める。

「止まりなさい。ここは立入禁止区域だ。」
「いいじゃない。ちょっとだけだから。ね。」
「ダメなモノはダメだ。危ないから子供はとっとと帰りなさい」
「なんだってぇっ」

子供扱いされたことに腹を立てたカオリが機動隊員を一升瓶で殴りかかろうとした瞬間、地下街の天井が崩れ落ちた!相まみえるポポフとカオリ。

「なんだ…キッチョーアンと一緒にいた小娘か…小娘の醤油など相手にならん。立ち去れいぃ!」

カオリを襲う亜音速醤油!だが亜音速醤油は何かに遮られカオリに当たらない!

「こ…これは!」

カオリの周囲を醤油がはね回っている。太陽のプロミネンスのように。

「溜家秘伝『飛醤油』!飛び回る醤油を作れるのは、あなただけじゃないってこと。鍵は私のもんだよ!!」

「なんだと…っ!!」ポポフは明らかに動揺していた。


「激闘!新宿駅の一番長い日…その5」

動揺するポポフを前にカオリは挑発する。

「飛び回る醤油なんて誰も飲まないからね。まさかこの醤油を使うときが来るとは思わなかったよ。」
「なんだと?飛ぶ醤油を愚弄する気か?」
「ていうか、醤油失格だよ飛ぶ醤油なんて。刺身にもつけられない。」
「ほざいたな!亜音速醤油こそ俺の!祖国の誇り!」

狂乱の亜音速醤油がカオリを襲う!だが『飛醤油』が全てをたたき落とす。

「クッ。やるな小娘!」
ポポフはやや冷静さを持ち直し、カオリに背を向け逃走しはじめた。
ポポフを追うカオリ。
「待ちなさい!このバカポポフ!鍵をおいてきなさいよ!」

この地下街のバトルは機動隊員によってすぐさまテロ対策本部に報告された。

「なんだと!またしても醤油か!」理解不可能な展開に苛立ちを隠せない五十嵐幕僚長

そこにアメリカからのホットラインが入った。電話の主はアメリカ第43代大統領W.ウエストウッド!
大統領がテロ対策本部に直々に電話を入れることは異例中の異例である。

「君が現場の最高責任者かね。イガラシ幕僚長。このテロをアメリカは極めて重要度の高いテロと見ている。早期収束をはかるため日本時間14:00、米デルタフォースを新宿駅に派遣した。到着次第作戦に入る。君達は手出し無用だ。今後の一切のテロ対策活動を禁じる。」

「なんですと!それは重大な内政干渉ですぞ!人命は…国際法に則り…」

「君は事態が高度に政治的な内容だと言うことだけを知っていればよい。以上だ。」

穏健派で知られるウエストウッド大統領がここまで強硬な手段を取るとはとても考えられないことだった。

醤油なのか…」

五十嵐幕僚長は困惑の表情を浮かべたままデルタフォースがやって来るであろう西の空を見つめていた。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その6」

同日18時、カオリとポポフの激闘は山手線ホームでまだ続いていた。

ポポフが亜音速醤油を打ち込む。カオリの飛醤油がそれをたたき落とす。
カオリが飛醤油を打ち込む。ポポフの亜音速醤油がそれをたたき落とす。

そんな一進一退の闘いが数時間に渡って続いていた。
お互いに疲れの色は隠せない。両者の醤油も残量が少なくなってきた。両者の闘いに沈黙の時間が訪れた。

「小娘。お前の力を見くびっていたよ。名を聞かせてもらおうか」
「カオリ。溜カオリ。鍵は渡さないよ!」

「良いガッツだ。カオリ。だが、ここで終わらせてもらおう。見ろ!」
ポポフが右手を挙げる。カオリの周囲には無数の醤油が漂っていた。

「さらばだ!醤油重力崩壊(ソイソースグラヴィテーショナルコラップス)!」

周囲の醤油全てがカオリをめがけて一気に収束する!
飛醤油でダメージをおさえきれずにカオリは倒れてしまう!

カオリが倒れたそのころ、新宿駅東口アルタ前には謎のオーケストラと大合唱団が集結していた。オーケストラの金管楽器に夕日が映える。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その7」

アルタ前に集結した謎のオーケストラが厳かに演奏を始める。
人気のないアルタ前に美しい曲調が鳴り響く。

一方、山手線ホームではまだ息のあるカオリにポポフがとどめをさそうとにじり寄る。絶体絶命のカオリ。

「見事な醤油だった。タマリ・カオリ。せめて醤油で死ねぃ」

ポポフが亜音速醤油を放とうと、右手を挙げたその時、

「チェストーッ!!」

凄まじい気合いと共に現れた黒い影がポポフを襲う。
無敵を誇ったポポフが鉄拳一閃で10mは吹き飛ばされた。

「わりゃあ、わしのダチにわやするぇえのぅ」

突然の乱入者はカオリの同級生山城いぶき。体勢を立て直そうとするポポフ。だがいぶきは転倒したポポフの頭を容赦なく蹴り抜く。恐るべき非情さだ。意表を突いた攻撃にさしものポポフも気を失ってしまう。

「みさらせ!これが山城流必倒空手じゃ!」

数十秒後、ポポフが目を覚ますと既にカオリといぶきの姿はなかった。だが、床には点々とソースと醤油の跡が地下街に向けて、つながっていた。

「甘く見ていた…ゆるさんぞ小娘ども!」
憤怒のポポフは地下街へ向かう。

その頃、西の空から米軍デルタフォースのヘリコプターが飛来していた。
米軍機が夕闇にまぎれて新宿駅を取り囲む。

同時に新宿駅東口にテロ対策本部の最高責任者五十嵐幕僚長と藤沢駅長が作戦車両で到着した。車を降りながら米軍機を憎々しげに見つめる五十嵐幕僚長。

「アメリカめ…日本をなめきりおって…」

しかし、藤沢駅長は駅前のオーケストラに目を奪われていた。

「これは…セルゲイ・S・プロコフィエフ作曲,偉大なる十月社会主義革命30周年のためのカンタータ「栄えよ,力強い国土」作品114!一体、何故…」

意外とクラシクマニアな藤沢駅長であった。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その8」

新宿駅地下街サブナード。ソースと醤油の跡を追うポポフ。ついに彼の視界がカオリといぶきの姿をとらえた。いぶきが気絶したカオリを背負っているため、スピードが遅い。

「今度は手加減せんぞ、最大!醤油重力崩壊!」

無数の醤油がカオリといぶきを襲う。崩れ落ちる二人
ポポフが二人に近寄る。だがそれはカオリといぶきではなかった!

「こ…これは…ソース!」

それは、いぶきの操るソースの人形、「ソース傀儡(くぐつ)」だったのだ!

焦るポポフにさらに追い打ちがかかる。彼の体内の醤油レーダーが大量の醤油を検知したのだ。
「醤油が…大量の醤油が…来る!」

ポポフは天を仰ぐ。空からとてつもない醤油が迫ってきているのだ。

一方、新宿駅上空に展開する米軍ヘリコプター機内。部隊長らしき男が部下に命令を下す。
「本作戦は宇宙醤油兵士アンドレイ・ポポフの捕獲が目的である…本作戦の難度は極めて高いが…あっ、あれは!」

新宿駅上空に展開する米軍のさらに上空に巨大な飛行船が現れた。国籍不明の黒い機影。形は悲劇の飛行船ヒンデンブルグ号を模しているが大きさははるかに大きい。圧倒的な威圧感に場に居合わせたものは皆、息をのんだ。

ただ、アルタ前のオーケストラと大合唱団だけが動揺することなくカンタータを切々と奏でていた。これから起こる惨劇をたたえるかのように。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その9」

アルタ前でカンタータ「栄えよ,力強い国土」がクライマックスを迎えると同時に飛行船から黒い雨が降り注いだ。醤油の雨だ。

その雨は徐々に勢いを増し、遂に滝のようになった。駅上空にホバリングしていた米軍機も醤油の雨に打たれ墜落してしまう。

これほどの醤油があの飛行船の中におさめられたとはとうてい思えない。だが、現実に新宿駅は轟音と共に醤油にまみれていった。

「私の…私の新宿駅が…!」
藤沢駅長は恐怖と怒りの入り交じった奇妙な表情を浮かべていた。

その醤油は駅構内に染み入り、覆い尽くす。そしてついには、ポポフのいる地下街まで伝わってきた。足下に伝う醤油を舐めてみるポポフ

「これは…この醤油はキッチョーアン!」

ポポフが気づいたその瞬間、地上にたまった醤油が防火シャッターを破り一気に地下に流れ込む!醤油の奔流に飲まれるポポフ。数瞬の間に地下街サブナードは醤油で満たされる。

「おのれーっ。キッチョーアン!」その絶叫は醤油の濁流にかき消された。

飛行船機内。舵を取るのはやはりデヴィッド・キッチョーアンであった。

「醤油の中に埋もれてはさしもの亜音速醤油も役に立つまい。なんにせよ、ポポフ。きみはやりすぎた。」

デヴィッドは珍しく感情的になっていた。プラントを壊されたのをかなり根に持っているようだった。

「ガロア、見事な演奏だった。礼を言う。引き上げてくれ。後は鍵の回収を待つだけだ。」

アルタ前でオーケストラの指揮をとっていた男こそ醤油トライデント演出部門統括ジョージ・ガロアであった。偉大なる十月社会主義革命30周年のためのカンタータ。それは祖国のかつての栄光を夢見たポポフへの鎮魂歌だったのだ。

ガロアは無表情に醤油にまみれた新宿駅を見つめていた。
「過去を求める者は…滅び行く…」

新宿駅を醤油で埋め尽くし、ポポフを退けたキッチョーアン。
だが、鍵の所在は?カオリの生死は?



「激闘!新宿駅の一番長い日…その10」

ポポフが醤油の濁流に飲まれる頃、カオリといぶきは地上3階の遺失物管理所に避難していた。

「おーぃ、カオリ。生きとりますか?」
いぶきが平手で容赦なくはたく。

「うーん…」
ようやく目を覚ますカオリ。

「あっ、ポポフは?なんであなたがこんなところにいるの。学校は?」
万年無断欠席のあんたに言われたないなぁ。どや立てるかいのぅ?」
「たぶん…あっ…」

カオリが棚に手をかけたその時何かを引っかけてしまった。それは床に転がり落ち澄んだ金属音をたてた。それは金属の棒だった。その先端にガーネットのような丸い宝石がついていた。

「これは…醤油の鍵だ…」
「こりゃぁ棒じゃぁなぁんか」
「いや、この先についているのは醤油結晶…それに私にはわかる…これが大事な「鍵」だって」

鍵の先端についている宝石は確かに世界醤油選手権フィンランドの醤油士ヨハンが作った「硬醤油」と酷似していた。だがヨハンのそれより深い色をしていた。

「ふーん。そがぁなもんか。見せぇ。」
いぶきが鍵を手に取って握りしめる。そしていぶきは懐から小型の通信機を取り出した。

「あーデビさん。任務全て完了。鍵もカオリも無事じゃ。以上。」
「よくやった、いぶき。」

通信機の声は正にデヴィッドの声だった。

「えっ、ちょっと待ってよどういうこと?」
「すまんのぅ。わしぁキッチョーアン調味料特務部隊S'S山城いぶき。最初からデビさんの指令を受けて新宿にきとった。」

「…!!」絶句するカオリ

「指令は3つ。カオリの救出。ポポフを地下通路に誘導すること。ほいで鍵の入手。つまりこれで任務完了とゆうわけじゃ。」

同級生のいぶきがデヴィッドの味方だったなんて!驚愕の事実にカオリは絶句したままだった。



「激闘!新宿駅の一番長い日…その11」

「ほら、鍵は返すけぇ。」
いぶきは気軽に鍵をカオリに投げ渡す。

「えっ…でも…」
いぶきの真意がわからずに戸惑うカオリ。

「いいんじゃ。カオリも頑張ったけぇ、敢闘賞じゃ。それに、あんまりきっちり仕事するとバーバラの姉さんがいろいろ面倒な仕事を押しつけてくるからの。手を抜いとかんと。」

「そ…そう…じゃ、もらっておくわ。」
とりあえずもらえるモノはもらっておくカオリ。

「それに醤油の鍵なんて、つまらんもんわしゃぁいらん。どっかにソースの鍵はないもんかのぅ」
「ちょっと待ちなさいよ!醤油をソースなんかと一緒にしないでよ!」
「うるしゃぁ、あんたもソースでも飲んで心を落ち着けんさい。ぶちうまいけぇの。」
「醤油は他の調味料とは違うのよ!そもそも、対比効果と言って…」

命からがら助かったというのに、もうソースと醤油で口論をするカオリ。

ともかくも、第一の鍵はカオリの手に落ちた。果たして次なる鍵の所在は?


エピローグ

こうして、新宿駅を襲った世界最初の醤油テロは終わりを告げた。自衛隊はその総力を結集してポポフの遺体を捜索したが、遂に見つからなかった。そして空に消えた巨大な飛行船も太平洋に出た後、レーダーからかき消え、その消息を絶った。また、オーケストラの消息も全く分からなかった。

目の前で起こった惨劇だというのに何一つ情報がないお粗末さに腹を立てる五十嵐幕僚長。しかも、米軍は何かをつかんでいるというのに…なんにせよ五十嵐幕僚長はあの日以来、醤油が怖くなり、醤油を見るだけで不機嫌になるようになってしまった。

藤沢駅長は事態の責任をとって、降格。遺失物管理所で一駅員として働くようになった。本人には何の罪も落ち度もないのだが…


醤油テロから二週間、残暑も落ち着いたある日。遺失物管理所に全裸の大男が現れた。熊のような体躯の全裸の大男。根来鉄史

「チワッス!ワシは根来いうモンですが、先月、新宿駅のトイレで服を脱いだとき、忘れ物をしてしまいまして!これくらいの…鍵…醤油の鍵と言うんですが…こちらに届いていませんでしょうかっ。」

みるみる真っ赤になる藤沢駅長。

「知らん!何が醤油の鍵だ!!」


第3部 一の鍵・激闘!新宿駅の一番長い日 (了)

 


 

天才醤油少女カオリtop | 「Dの嘘」top